渡辺雄一郎シェフ

Profile — 総監修シェフ

渡辺 雄一郎

Yuichiro Watanabe

  • 「Nabeno-Ism」オーナーシェフ
  • 元「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」エグゼクティブシェフ

「世紀の料理人」の隣に、21年。

ジョエル・ロブションに憧れ、その厨房を総料理長として率いた日本人。三つ星を守り抜いた技術のすべてを、いま、病と向き合う人の一皿に注ぐ。

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21年

ジョエル・ロブションのもとで過ごした歳月

★★★

総料理長として9年にわたり守り続けた、ミシュランの三つ星

4か月

独立して開いた「Nabeno-Ism」が、ミシュランの星を得るまで

業界の評価

ロブション氏が全幅の信頼を置いた、数少ないシェフ
— 料理王国
今後フランス料理業界のリーダーになる存在
— 料理王国「シェフが選ぶシェフ」
ドネ・モワ・ルセット(ルセットを出しなさい)
— ジョエル・ロブション — 渡辺の料理を口にして

物語

01

料理書をめくる少年

1967年、千葉県生まれ。幼いころから、母が集めた料理書を飽きずにめくり、テレビの料理番組に見入る子どもだった。

食べたいものを、自分の手でつくりたい。白いコックコートへの憧れが、そのまま進む道になった。辻調理師専門学校を卒業し、同校のフランス校へ渡る。

02

パリ、「ジャマン」の衝撃

フランス校の学生時代、パリで訪れた一軒のレストランが人生を決めた。ジョエル・ロブションが1981年に開き、わずか3年でミシュランの三つ星に駆け上がった伝説の店「ジャマン」。

この人のもとで料理をしたい。帰国後、「ル・マエストロ ポール・ボキューズ トーキョー」で腕を磨き、1994年、恵比寿に誕生した「シャトーレストラン タイユヴァン・ロブション」の開業メンバーとなる。

03

ロブションの隣で、21年

スーシェフ、カフェのシェフを経て、2004年12月、「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」のエグゼクティブシェフに就任。ロブション氏が来日すれば、その隣には必ず彼がいた。「世紀の料理人」の技と哲学を、誰よりも近くで受け継いだ日本人である。

総料理長として、ミシュランの三つ星を9年にわたって守り続けた。一皿の誤差も許されない、世界最高峰の厨房を率いる日々だった。

ある日、彼の皿を口にしたロブション氏は「ドネ・モワ・ルセット(ルセットを出しなさい)」と告げた。世紀の料理人が、弟子の料理を認めた瞬間だった。

2015年、独立を切り出した彼は、21年をここで過ごしたこと、星を守り抜いたこと、そして次の挑戦がしたいことを師に伝えたという。ロブション・グループの総料理長の独立は、料理界を驚かせるニュースとなった。

渡辺雄一郎シェフの一皿 — Nabeno-Ism
渡辺雄一郎シェフの一皿 — Nabeno-Ism

04

Nabeno-Ism

2016年7月、浅草・駒形。隅田川を望む場所に「Nabeno-Ism」を開いた。店名は、厨房で呼ばれてきた愛称「ナベ」と、「イズム(主義)」を重ねたもの。

フランス料理の揺るぎない技法に、江戸の食文化と日本の食材を重ねる。師のレシピに着想を得て、昆布だしのジュレにそばがきとキャビアを合わせた一皿は、その哲学を映すスペシャリテだ。

開店からわずか4か月でミシュランの一つ星。そして「ミシュランガイド東京2019」で二つ星へ。師から受け継いだものを、日本人の料理として結実させた。

辻調グループ校では17年にわたり毎年教壇に立ち、ロブションから受け継いだ技と哲学を、次の世代へ手渡してきた。

年譜

  1. 1967千葉県に生まれる
  2. 1988辻調理師専門学校を卒業、同フランス校へ。在学中、パリ「ジャマン」でロブションの料理に出会う
  3. 1994恵比寿「シャトーレストラン タイユヴァン・ロブション」の開業に参加
  4. 1996スーシェフに就任
  5. 2004「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」エグゼクティブシェフに就任
  6. 201521年を過ごしたロブション・グループから独立
  7. 2016浅草・駒形に「Nabeno-Ism」を開店。4か月でミシュランの一つ星を獲得
  8. 2018「ミシュランガイド東京2019」で二つ星に
  9. 2026Maison de Santé 総監修シェフに就任

Maison de Santé で

医療の条件を、三つ星の技術で解く。

Maison de Santé の原点には、彼の一皿がある。冷蔵庫に残っていた限られた食材から、富田大介のためにつくった一皿。その驚くほどのおいしさが、「制限は、創造の起点になる」という確信を生んだ。いま総監修シェフとして、医療者と共同設計するすべてのメニューの品質とおいしさに責任を持つ。塩分、やわらかさ、たんぱく質の量。臨床が求める条件を、香り、温度、食感、余韻で超えていく。

ともに卓を囲む人